この「抱きしめたい」は、
作詞家に歌詞を書いていただいた。
紙の上に記された文字であるが、
素晴らしい歌詞というのは既にメロディや曲の流れが付いている。
言葉ひとつひとつに「音」がある。
眺めていると、自然と歌が生まれてくるのだ。
僕が作りたかった曲のひとつに、ソウルミュージックがあった。
忌野清志郎が愛して止まなかったソウルミュージックだ。
これまでいろんな形で何度もソウルミュージックにトライするのだが、
どうしても思うようにいかなかった。
なにかが足りないといつも感じていた。
そんな気持ちを埋めてくれるかのように、
言葉がメロディを奏で、
そしてリズムを刻んだのだ。
きっとこの言葉たちはこう歌われる運命にあった。
なにか文章にしてしまうととても大層な感じになってしまうが(笑)、
でも本当にそうとしか言えない。
この詩は、自分のものにするまでにそう時間はかからなかった。
きっと、僕が歌うことを熟慮して書いてくださっているんだろう。
言葉たちがこちらを向いている気がしたのだ。
この歌に、刹那や湿っぽさや稚拙な感情はいらない。
割と鮮やかな身のこなしで「愛」を囁くといい(割と、というところがポイント)。
それぞれの立ち位置で、
乾いているようで実は少しウエットで、
サヨナラならばそれはそれで、
肩の力は程よく抜けていて、
ユーモアやジョークや本音がグラスの中で溶けあうくらいの、
時間でいうと午前1時30分くらいの(笑)、
ゴージャスなのに品が良い、
そんな距離だ。
いつかこんな曲だけがあふれたアルバムも作ってみたい。
追伸
この後にくる「Message from the AIR」とのコントラストがまた堪らない。
Comments